Smeh liya Morocco - スマヒリヤ・モロッコ

モロッコ駐在生活のことを中心に、色んなことを書いてます。

BLUR (グアテマラ旅行記)


Guatemala City-> Atitlan (Panajachel)


当時受講していた授業の最終日、終わった瞬間に家を出て、車に乗って、夕方に空港に着いて、その日の夜にグアテマラシティ(首都)にたどり着いた。
帰りは次の授業が始まる前日の夜に飛行機をとって、日付が変わった真夜中に家へ帰った。ハードでありながら、ゆったりスローでマイペースでのどかで、ごちゃごちゃ考え事をしすぎて年末年始からしわくちゃになっていた心を洗濯してアイロンするにはうってつけの旅だったと思う。

グアテマラはコスタリカから2時間少しで到着する。コスタリカを除くと中米を旅行するのは初めてである。
現在の家に根をはり腰が重くなって旅行もあまりしなくなり、悶々とした日々が続いていた。これではいかんと直観的に思って、同期の友達に「次の休暇どうするん?」と聞いて、すでに予定していた二人に便乗させていただくことにしたのである。

グアテマラシティからアティトランへ行く道中に立ち寄った土産屋


中米というと、なんだか物騒で危険なイメージがあった。
しかしコスタリカは「中米でも比較的安全」で、私の住むコロンは「コスタリカの中でも比較的安全」ということもあって、ものすごく平和でのどかな田舎町なので平和ボケもいいところであった。でもグアテマラシティと聞くと、背筋がしゃんと伸ばされて、鞄は前側に抱えてパスポートと財布は奥のポケットにしまうというのを反射的にやっていた。カメルーンで鍛えられた安全確保力は健在である。

グアテマラシティの治安を鑑みて、滞在はできるだけ短い方がいいだろうと考えた上で、知り合い伝いにタクシーの運転手Julio(フリオ)氏と仲良くなり、すぐに観光地であるアティトランへ向かった。

アティトラン湖

首都から約4時間、途中で朝ごはんや土産屋に立ち寄りながらのんびり午後に到着したアティトランの主要部パナハチェルは、美しい湖のほとりの街だった。観光地というのもあって、かき氷やアイスクリームの屋台、土産屋通り、ボートツアーの客引きなどでとても賑わっている。峠越えの道中の冷たい空気とうって変わって、強い日差しとくっきりとした青空に夏を感じた。

アティトラン湖から臨む二つの火山、そして湖畔沿いに栄えた集落が遠目に見える。無数のボートが通り過ぎる。どこまでも深い青を見ていると、なんだか久しぶりの旅行に来たことに心が躍り、すごい色のかき氷を頬張りながら街を歩いた。

危険なんて言葉はどこへやら、日中歩いていてもそれほど外国人が目立っている感じもなく、人々も超フレンドリーだった。
街の底らに土産が売っていることから、完全に観光地なのだけど、少し湖から離れたところを歩くと民家や学校の並ぶ通りもあった。紫の花をつけた木々が咲いている。大きな犬が横切って、トライシクル(トゥクトゥク)がばんばん道路を駆け抜ける。

ワクワクする土産屋通りで値段交渉しながら買い物をして、スーパーでワインとスナックを購入して宿に戻り、
日が沈んでから夜が更けるまで話し続けた。


Atitlan 3 Maya Villeges

翌日はボートに乗ってアティトラン湖周辺にあるマヤ人の村を巡った。

1. ヒッピーの街 San Marcos

ボートで到着すると、男の子が「案内するよ」と言ってついてきた。
ただ、ほぼ一本道だったし、どこへ行くか特に決めずに歩きたかったので私たちは細い道が続く方へずんずん進んでいると、いなくなっていた。学校はどうしているんだろうか?なんて考えていた。

現地人より欧米から来た観光客の方が多いイメージ。みんな服装がカラフルでルーズで文字通りヒッピーのまち。細い道に沿って隙間なくカフェや宿が立ち並んでいる通りを越えると、突然小さな家々が並ぶ集落へ出た。険しい坂の上に学校らしい建物が建っている。小さな売店の外に玉ねぎが詰まった袋が山積みにされていた。観光地は船乗り場からすこし通りに入ったところだけのようだった。

マヤ文化の遺跡らしきスポットを超えて山を登り、湖岸に立てられた12mのジャンプ台(湖に飛び込める高台)から友人二人が飛び降りるのを写真に収めてみる。青い湖が本当に綺麗だった。

遺跡・・・?


2. マヤ工芸品のまち San Juan

次に訪れたのはまさに工芸品の街。ガイドさんに従っていろんなハンドメイド品を紹介してもらった。
石鹸、蜂蜜、コーヒー、衣服・・・それぞれの店舗に一つ一つ連れられ、どうやって作っているかの説明を受ける(スペイン語なのでどこまで自分が理解できたのかは謎)。衣服の紹介先では、植物から取れるワタがどのように糸になり、どのようにそれを染め、どのように織るかまでをワークショップ形式で紹介してくれた。そんなに手間がかかるのか、と感心したし、観光客向けにここまで色々取り組んでいることにも驚いた。訪れる人が多いんだろうな。

マヤの人々の服装は、カラフルだが鮮やかではなくすこしくすんだ色をしている。
女性たちは華やかな刺繍のセットアップを着て、刺繍の施されたベルトをして、髪を後ろで三つ編みにして、頭に重そうな荷物を乗っけて歩いていた。小柄な方が多くて、なんだかみんなおしとやかで優しい雰囲気をまとっていた。

3. パリピとマヤ人の生活の街 San Pedro

船から降りてすこし歩くと、真昼なのにクラブミュージックに乗って踊る集団を見かけたので、パリピの街なのかなと思ったのだけど、観光色も濃くありながらもしっかりと現地の方々の生活感もあった。道で野菜やパンを売って回る人々がたくさんいる。

目についた店でグリル肉の盛り合わせを3人で平らげ、さらに奥地へ進んでいくと、やっぱり小さな売店とか鉄筋が丸出しの建物に洗濯物が揺れていたりとか、小さな菜園がちらほらあったりとか生活を思わせる景色が広がっていた。そんな奥地で偶然見つけたお土産屋で、推しに負けて帽子を買ったんだけど、今でもとてもお気に入り。


Atitlan -> Antigua

翌日は、アティトランで見かけた韓国人が経営するカフェに行った。
とってもコーヒーにこだわっているようで、カフェモカがとても美味しかった。
昼前にフリオ氏が迎えに来てくれて、2時間ほど揺られてアンティグアという街に来た。

アンティグアはグアテマラのかつての首都で、スペイン語で「アンティーク」を意味するので「古い街」ということになる。
道路は全て石畳なので、タクシーに乗っている時に尻へのダメージはすごかった。

古い教会の跡地やキリスト教を思わせる建築物の多い街並みが人気で、結婚式の前撮りをしている人々の姿があったのだが、この石畳にハイヒールはかなり厳しいだろうな〜なんて思いながら、狭くて人通りの多い歩道を歩いた。

京都のように網目状になっていて、火山の麓に栄えた町なのだが、10分に1度は噴火しているというアカテナンゴ山から煙が出ているのをみると心配になった。鹿児島の桜島と同じような感じなのかなあ。

Hobbitenango& Antigua

翌日はAntiguaめぐりの後に、街からすこし離れたHobbitenango(映画「ホビット」の村を再現した場所)へ行くことにした。
ベンチが固定されている軽トラの荷台に載せられ、お尻を痛めながら石畳の道路をどんどん登っていく。道は狭く、坂は急になっていく中20分ほどでホビテナンゴに到着。標高が高いのか、すこし歩くだけで息切れする。

写真スポットやちょっとしたアトラクション?(縄にぶら下がってターザンするやつ)などを一通り回り、火山を見ながらビールを飲んだ。
良い休日である。

その後Cerro de la Cruzという街を一望できる丘へ行き、景色を眺めた。わたあめを売るおじさんが子どもたちに追いかけ回されている中に紛れて、友達もちゃっかり買っていた。

(わたあめが好きな友達撮影)
アンティグアのマクドはお洒落でした。

BLUR

水中で目を開ける。すると、世界がぼやけて見える。
ターンをしてコースを折り返すときに、水面を下から見上げる。
プールの周りに植わった木々の緑がゆらりと光に揺れているのが、水面越しに見える。
出鱈目に白や緑や青の絵の具を乗せた抽象画のキャンバスのようで、心地がいい。

旅はそれに似ている。
どこにも根を張らずにぼんやりと世界を自由に放浪できるような、いろんな決まりごとにできるだけ囚われないように生きていけるような、そんなふうになりたいと思って、色んなところへ出掛けて、知らない場所を自分の目で見て感じたくなる。そうすると、目下自分の生きている世界が広がる。一色だったところに違う色が混ぜられていくような感じ。

3月の5日間の休みを目一杯使ってグアテマラを旅行したことで、「日常」になりつつあったコスタリカの日々を改めて「非日常」だと感じた。

当たり前のようにスペイン語が聞こえてくることや、道路標識が日本と左右反対でderechaとかizquierdaとか書かれたのを最近脳が自動的に理解していることや、トルティーヤやチリソースが主食であることが多いことや、毎日Tシャツで過ごせる天気が年中続いていること。どれを取ったって、大学院生をやっている今だからできる体験であって、嫌でも終わりがあり、いつかはこの生活からさよならしなければいけないということ。

今乗り越えていかなきゃならないことに立ち向かい続け、答えのない環境問題について延々と考え続け、矛盾した自分の感情を抱えて悶々とする。
まるで、そこに新しく水を加えて滲ませてやらないと、カラカラに乾いて固まってしまいそうな絵の具みたい。

でもとにかく、この旅はふわりと軽くて、優しくて、不思議な気持ちになった。自由だなあと感じられたと同時に、今の学業のことをこれまで以上にかけがえのない機会だと思う感謝の気持ちも湧いた。帰ったらもっと頑張ろうという気にもなった。コスタリカに「帰る」と言えるようになった自分にも驚いた。

私の世界は滲んでいる。いろんな色が際限なく混ざって、境目がない。
さらに混ぜて、滲ませて、あいまいを愛でられるような日々を過ごしていく。多分それが一番、自分らしい旅の仕方なんだと思った。

便乗させてくれた二人の友達に感謝です!!