Smeh liya Morocco - スマヒリヤ・モロッコ

モロッコ駐在生活のことを中心に、色んなことを書いてます。

天と、地球と、人々。

モロッコに来て、少しずつ友達が増えてきた。

華金にお呼ばれした家は、オリエンタルな柄模様のソファが壁沿いに置いていて、広々としたリビングに油絵の抽象画があちこちに飾ってある。
前菜に焼き菓子とミントティー、そしてタジン鍋2つ分のご馳走をいただき、夜中にドライブまで連れて行ってもらった。

先日は職場の先輩たちとマラケシュに行った。学生時代に貧乏旅行で訪れた時とは全く違う視点で、歴史ある赤い街を堪能することができた。

お仕事関係で知り合ったものの、とても仲良くさせてもらっている生花の先生に、先日初めて「草月流」の生花の基本の一部を教わった。
枝、葉、花で、天、地、人々を3次元で表す。

小さな水盤と、手のひらサイズの剣山の上に、一つの宇宙があるような。

そんな美しい日本文化を、私は日本で生まれ育ちながら知らなかったのだった。
まだまだ未知は多い。だから、とても楽しい。

見上げると8割がた快晴の空。
日中は太陽が眩しくとも、それほどうだるほどでもない。海から風が吹いてくるからだろうか。
マラケシュでは30度を超えて身体が熱っていたが、夕刻にラバトの街に着くとひんやりと肌寒く感じさえした。


花一輪一輪の彩り。
夕刻の大きな太陽。
白いモスクと歌のように響くアザーン。
突き抜けるような透明の空。
歩きすぎてパンパンになった足と、
どこまでも続く地面。道。そして未知。

そんな全部を包み込む夕刻の一瞬に、ただ酔いしれる。

戦争や社会問題や値上がりや環境破壊といった悲しいニュースが流れるこの世界で、私たちは生きていかなければならない。
できるだけ楽しいことを探して、できるだけ一刻一刻を笑うことができるように。

それが叶わないこともある。
そのために動くエネルギーがなかなか出ないこともある。

私は私のことでいっぱいいっぱいだ。これまでも、きっとこれからも。
国際協力とか、社会解決とか、そういう崇高なことに手を出そうとしてきたけれど、最近痛感することがある。
「言葉で言うは易し。実際の世界は本当に複雑で、一人の力ではどうしようもない。」

夢や憧れを現実に引き寄せて、自分の可能性をこじ開けたのも自分だ。だからこそ気づけた現実。
だからって「諦める」とは言わない。

悲しい現実に絶望せずに、自分と、自分の周りの人でできること、そして幸せになっていくことを考える。