Smeh liya Morocco - スマヒリヤ・モロッコ

モロッコ駐在生活のことを中心に、色んなことを書いてます。

パンと水の話

いのちのみず

モロッコは滅多に雨が降らないらしい。

確かに、カラッと晴れる日が多くて、太陽光は日本よりも眩しい印象だ。
2月にラバトに着いた時には朝晩は白い息が出るほど冷える割に、昼間は太陽がギラギラと照り付け、海からの風が冷たく気持ちが良かった。

雨が降らないということは、水が少ないということ。
これまであった日系企業の人々や農業に携わる人々曰く、「モロッコには水が十分にない」そうだ。

ちなみに、この国では水道水は飲めない。
濾過器を通した水を煮沸するか、ミネラルウォーターを購入するのが一般的である。

水がない、と言いながら2リットルの飲み水が4ディルハム(約52円)で売られているのは不思議だと思った。
また、シャワーや洗濯で使う生活用水も高いのかと思いきや、毎月200円程度だと聞く。
*まだ暮らし始めて数週間なので、人から聞いた情報

はて、水がないのになぜ水が安いのだろう。

いのちのパン

モロッコの物価は高いか安いか、と一概に言えないと思う。

日本より安いものもあれば、高いものもある。
外国人向けのレストランはランチで2000円をゆうに超えるし、お酒を呑んだ日には一人6000円くらいするので外食はほどほどがいいように思う。
*宗教的な背景からモロッコでは公共の場で酒を飲むことは違法とされ、ほとんどの人が酒を飲まない。お酒を飲めるレストランは外国人向けに限る。

しかし、日本よりダントツに安いものもある。
それは現地で採れる野菜や果物、そしてなんといってもパンである。


「ホブス」と呼ばれるパンは、外はカリッと中はもちもちで癖になる。
スープやタジンを頼むと必ずついて来るし、カゴに入っているパンを全部食べるとまた持ってきてくれる(食べ放題)。

スーパーや売店で買っても一枚1〜2ディルハム(13〜26円)程度。
パン好きにはたまりませんな。

ホブスが一般的に食べられているパンだけど、他にもいろんな種類があるらしい。
atoz-morocco.com

そんな安いパンだが、小麦粉やパスタが特別安いわけではない。
はて、なんでパンはこんなにも安いのだろう。

かみさまから与えられるもの

パンと水は、生きていくために欠かせないものだということ。
イスラームの教えではそれらは「神様から与えられるもの」だから、貧しくとも与えられるべきものだという考え方から、国が補助金を出しているようである。(人から聞いた話なので真偽は不明。これからしっかり勉強していこうと思う)

嗜好品である蜂蜜やコーヒーは、国内で作られていながらも価格は日本と同じくらいであるのを考えると、水やパンは不自然なほど安価である。
国のサポートによって、パンと水は全ての人の手に渡るようになっているのだ。なるほどすごい。

今週から始まるラマダン(断食月)はイスラーム特有の習慣。
1ヶ月間夜明けから日没まで一切水も食事も取らないで、自省をする時期だそうだ。

とあるモロッコ人はこのように言っていた。

<<空腹と乾きを感じることで、実際にそれで苦しんでいる人々の気持ちを知り、本当に「与える」ことができる。>>

日没後、人々はまずナツメヤシの実を食べて(日本なら胃に優しいお粥だが)、その後豆と野菜がたっぷりと溶け込んだ、「ハリラ」というスープを食し、空腹が落ち着くと皆街に繰り出すという。日没後は特に制限なく食べてもいいので、伝統的な甘いお菓子などを食べ過ぎて太ってしまう人もいるそうだ。
そんな豊富な食を貧しい人に分け与えることをする人も多いそうだ(「喜捨」と言ってイスラームの教えでは与えることを推奨されている)。

私にとっては人生はつのラマダン月をイスラム教の国で迎えるので、街がどのような雰囲気になるのか、楽しみでならない。